今年度も終わり

 あの大震災の後では、多くの事件が小さく霞んでしまい、はるかな記憶の彼方に消えてしまう感がある。さはさりながら、平成22年度は終わっていく。自分自身では大きな人生の転機となった年度だった。失業から行政書士開業、弁護士事務所の手伝い、という仕事の変化があり、収入も大幅にダウンした。反面、新居の生活も馴染みはじめ、庭を眺め、ジャズを聴きながら、自分で淹れたコーヒーをすする、という贅沢も味わえるようになった。慢性じんましんも、ようやくおさまってきた。
 森まゆみさんが原田病の闘病記を出しておられる。山田風太郎の日記を夢中になって読んでいた頃、彼女の名前と出会い、「谷根千」の仕掛人として認識し、同時に尊敬もしていた方である。そんな彼女の闘病記を読み、自分の闘病(というか体験)と引き比べて、健康の尊さを再認識する。同時に、読書家であった彼女が以前のように本を読めなくなり、その寂しさを想像するとともに、自分の年齢と比べ、残り時間の短さにおののく。いつまでも、みんなにいい人やってたら、時間が足りなくなるぞ、と自分に言い聞かせる。

明るい原田病日記―私の体の中で内戦が起こった

明るい原田病日記―私の体の中で内戦が起こった