原発と津波

 今さらながら、津波を考えなかった原発の立地に呆れる。しかし人間の知恵の限界なのかもしれない。今度は、津波やM9の地震にも備えた準備をしなければならない、と考えるべきである。原子力の平和利用そのものを否定してはならない。
 私の事務所では、文庫本などを入れておいた小さな本箱が倒れ、棚の上においた小物が落ちてきた。しかし、建物損壊は免れた。その直後から約11時間にわたって停電したが、電気機器の破損はなかった。これから考えるべきことは、他の本棚の固定や、棚の上に重い物を置かないようにすることである。部屋に本箱を置かないわけにいかないし、棚も必要なのだ。それが人間の知恵だと思う。
 事務所の棚と、「被害の取り返しのつかない」原発と一緒にして考えるのは間違いだという意見も多い。でも進歩の方向を見捨てれば、あっという間に中世に戻ってしまうのが人間なのだ。迷信やデマゴーグに支配された暗黒時代に戻りたくはない。