建国記念の日です

 このところ読書量が落ちている。やっぱり会社に出るようになると、疲れる。本当なら今頃は、司法修習の準備でもしてた筈なんだが、思うようにならないもんだ。

 あほらしい不良債権回収の相談で、某超大ローファームを訪問。驚きました。わたしが知っている法律事務所とは別の世界、業種に思えました、一瞬。もっとも弁護士が出てきて法律相談を始めると、なんのことはない、同じ世界に戻るんだけど。

 ローファームって、アメリカ製のドラマや映画で見て、ばくぜんと想像していたんだけど、やっぱり現実のもつ迫力はすごいですね。


 さて建国記念の日。わたしは、正木ひろし「近きより」(旺文社文庫版全5巻)を読んでいます。正木ひろし氏といえば、第二次大戦中に東条英機批判を個人誌「近きより」上で展開し、清沢洌氏の日記中でもとりあげられている方です。しかし、そういう先入観をもって読み始めると、とまどうことが多いと思います。なぜなら昭和初期における正木氏は決して、戦後的な意味での絶対平和論者でもないし、大日本帝国解体論者でもなく、ただ冷静な自由主義近代主義的教養を有する大日本帝国臣民と思えるからです。逆にいえば、山田風太郎の日記を読んで感じた気持ちと共通するのですが、大日本帝国臣民は決してファナチックな民族主義者ばかりではなかった、現在の我々とも共感できる思考のバランスをもった人物も多かったということだろうと思います。

 それにしてもヒトラー礼賛の文章など、今日から見れば、否定されざるを得ない文章もかかれています。まことに歴史とは残酷なものだと思います。

 それにもかかわらず文章をかくことの意義。たとえば、こんなブログをつづる意義。たしかに有るのだと、先達の文章を読んで実感しました。