鋼橋梁の談合のニュースを聞いて

 日本の土木屋(橋梁メーカーも含めて)さんで、談合と無縁の業者はいない。知らずに入社してきた新人は、いつのまにか、そのシステムに組み込まれ、洗脳されていく。
 少し前までは、役所の担当者も黙認だった、と聞く。このあたり、ストリップと公然わいせつ罪、ソープランドと売春の関係に似ている。

 思うに、日本の法制度には、法社会学的に無理な建前をつくり、官民ともに目をつぶることが多い。その最大のものは、憲法9条自衛隊だし、身近なところでは、公道の制限速度がある。

 摘発されても運が悪かった、としか思えない。反省なんか生まれない。新聞は偉そうに、「必要悪」という単語を用いた上で、それを否定する。しかし「必要」という単語の重みを真剣に考えれば、簡単に「もはや必要悪ではすまされない」などとは書けない。

 談合担当の人間と話したことがある。虚勢は張っていても、悲しそうな表情は隠せない。

 役所のような、親方日の丸でコスト意識のない職場と違い、民間は指名物件の見積もりを誠実にこなすだけで労力と経費がかかる。その上、受注後は経験の浅い役所の担当者の場当たり的指示の下で、膨大な報告書を提出させられる。

 役所に「業者」として出入りした経験のある人なら、小役人どもの横柄さは骨身にしみていると思う。

 あえて言う。業界で暮らす国民が皆で生き残っていくための方策が「談合」である。工事は手抜きをしていない。一体、何が悪いのだ?