都市計画と常用漢字

 常用漢字のアホらしさ(携わっている方々の真摯さは認めますが)については、前にも書いたけど、都市計画についても似たようなところがあるな、と、最近思う出来事がありました。

 「都市計画」という単語からは、たとえば道路を造るとか、下水道とか、緑地帯とか、そんな具体的なモノの設置を考えてしまう。もちろん、そういったものの設置も都市計画なんだけど、その前提として、ひとつの地方公共団体内部にいろんな線を引いて、ここは工業地域、ここは文教地区、商業地区に、市街化調整区域などと決める作業がある。

 ところがたとえば住宅専用地区が高級住宅地だったりすれば、次世代の住民は相続税や固定資産税の関係で、準工業地域や、縁故を利用して市街化調整区域で中古住宅を入手したりする。その結果、住宅専用地区は過疎化したりする。決して、痴呆効無淫らが考えたような都市はできあがらない。

 なんで、こんなこと考えたのかというと、わたしの住んでいる町で「メディカルモール」付属というふれこみで、高級マンションが分譲されたのだけど、肝心のお医者様が集まらない。結局、医院が入る予定のフロアは空いたままという現象がある一方で、準工業地域や市街化調整区域に、お医者様の開業が重なり、ちょっとしたメディカルモールが自然形成されつつあるという現象に出くわしたからです。

 そこは実質上、住宅地を形成しているので、お医者様も経営が成り立つから集まるのでしょう。

 もちろん、経営の論理だけでこのような公共サービスや都市の形成を放任することがベストだとは思いません。

 しかし、そのための最低限の規制(消極的規制)と過疎地に対する積極的手当てがなされれば足り、それ以上に大げさな都市計画なんて不要なのではないでしょうか。

 わが町の郊外は、いまだに市街化調整区域が広がり、そこではセブンイレブンや事務所、ガソリンスタンドなどの空家が借り手のないまま、放置されています。そこに合った用途で建物を再活用しようと思っても、開発許可と目的が違うため、違法となってしまうのです。

 誰に利益が生じるのでしょう?

 このあたり、過剰に基準をつくりたがる汚役人根性という点で、常用漢字と同じだと思ってしまいます。